2021.8.1 開院記念日 院長挨拶
本日の開院記念式典に本会場そして各職場でオンライン参加していただき感謝申し上げます。
さて千曲荘病院として本日は、63回目の周年を迎える大変喜ばしい日であります。また、創立日と同じく、例年通り熱く好天に恵まれました。コロナ禍前はささやで100人は超える職員と盛大に喜びを分かち合うとともに先輩たちに感謝するのが伝統でした。この1-2年は忍耐の時であり、大きな転換点になる時期と思います。竹の成長で言えば節目であり、地道にコツコツと実力を蓄え、次への発展の方向性を見据える時でありましょう。いずれにしても、本日は創立の原点回帰の日であります。創立の精神をみんなで確認しましょう。
創立者の遠藤利治が精神科医を仕事として選び、当院を開院したのは身近に精神障害の方がいて、何とか治療手段を開発し、回復させたいという願いからでした。当時は精神病の治療薬としてはコントミンが創立の3年前に使用開始になったばかり、セレネースの販売は創立の9年後で、現在からみると治療薬は大変少ない状況でのスタートで電気けいれん療法が主体だったようです。ただ、自信をもってはっきりいえるのは、開院当時から精神障害で回復には至らなくても、幸せに人生を送ってほしい、人間としての尊厳を重視する想いはずっと続いています。創立者の50周年記念誌での言葉を紹介します。【一番大変な時代でしたが、家庭的な中で、入院患者さんと一緒に食事や入浴をしていたので、患者さんのことや家族のことが非常に良く分かりました。漫然と患者さんを診るのではなく、愛情を持ってみるようにしていました。==中略――やはり原点は愛情をもって接していくことがすべてだと思います、医療者として慢心することなく愛情を持った治療、看護、ケアが私たちの原点であることに変わりありません】〈患者さんには優しくな!〉が口癖でしたね!そうです、当院の基本理念の1番目の愛の精神です。
同じく遠藤利治が開院して痛感したのは、精神障害、精神科病院等への偏見でした。これを減らしていかなければ安心して患者さんは治療を受けられず、また社会生活が送れないとの思いです。創立者が84才の理事長職最期の年、病院祭で体を揺さぶりながら魂に響くあいさつをしました。この時に偏見と戦ってきた、想いが強く感じられたことを今でも良く覚えています。本日は、この身近な精神障害者の救済の思いから当院が設立され、愛の精神でケアがなされ、精神障害への偏見の取り組みを継続してきたこと:これらをみんなで共有し、この伝統を守っていきたいと思います。
創立63年は私の年齢から2つ少ないだけで、私の経験してきた時代と重なり、また私の人生の半分はこの病院とともにありました。精神の病気も治療法が進歩し、かなり治る時代になり、建物も今からみると粗末なものから広く快適な居住空間となり、スタッフの数も5倍以上となり質の高いチーム医療がなされるようになりました。私自身新まい医師だった40年前と比べ隔世の感があります。
これからの未来は簡単に予測できませんが、地域で希望の旗をしっかり上げ、創業の精神をみんなで共有、継続していければ当院の発展に限界はないと信じます。創業者、そしてこれまで当院を支えてくれた全ての人に改めて感謝したいと思います。そして今後65周年、70周年、そして100周年と当院が発展していくことを強く願って私からのご挨拶といたします。
表彰者代表挨拶 永年勤続表彰者 藤沢忠臣さん挨拶
このたびは、開院63周年を迎えられ、誠におめでとうございます。受賞者を代表して、一言お礼を申し上げます。支援センターの藤沢忠臣と申します。
本日は、コロナ禍ということもあり、規模を縮小してではありますがこの開院記念式典にて、表彰を受けましたことを本当にうれしく、感謝の気持ちでいっぱいです。
私は、当時地域生活支援センターやすらぎの職員として入職しました。その後、支援センター3年を経て、デイケアを3年、東3病棟(当時は、急性期病棟)5年、その後支援センターへ異動して10年目を迎えています。月日が経つのは早いもので、もう20年になるんだなあと思います。当時は、センターの施設職員と病院のケースワーカーを兼務で行っていました。当時とても印象に残っていることが2つあります。1つ目は、相談室でタバコを販売していたことです。タバコの銘柄を覚えた記憶があります。今では、タバコの値段も2倍以上となっており、病院も禁煙の環境になっています。禁煙が実現するとは、20年前では想像もつきませんでした。それくらい入院患者さんの多くの方が、タバコとコーヒーが欠かせなかったように記憶しています。
2つ目は、運動会が行われていたことです。地域の方との交流をもつことで、精神科病院を理解していただくことを目的に行われていたかと思います。職員が闘志をむき出しにして行われたリレーは、とても楽しかった記憶として残っています。現在では、病院祭として地域の方との交流を通して精神科病院への偏見をなくしていく活動として定着しております。年々来場者が増えてきており、多くの方に千曲荘病院を知っていただく機会になっているのではないかと思います。昨年度は、コロナウイルス感染拡大によりイベントの開催が難しい状況ではありますが、新しい形での病院祭の継続が出来ていることは素晴らしいことだと思います。創意工夫の成果ではないでしょうか。
さて、この20年間を振り返ってみますと、私が入職したころの職員数ですが100名程であったと思いますが、現在では3倍近くになっています。また、ハード面におきましては、東棟の落成、南棟の落成、重度認知症患者デイケア「なごみ」の開始、グループホームの開設、電子カルテシステムの導入、認知症グループホーム「アルテミス」の開設、訪問看護ステーション「ポプラ」の開設、院内保育所「ひよこの家」の開設など理事長先生が目指している精神科医療の理想に向けて職員も患者さんもご家族、地域の方も安心できる医療体制が構築されつつあると思われます。
現在、コロナ禍であり部門を超えての職員間の交流の機会が少なくなっています。とても残念なことではありますが、このような状況だからこそ一人一人がチームの一員として法人のベクトルを合わせて少しでも繋がりをもってソフト面での充実を図り、乗り越えていけると信じています。乗り越えられ、元の生活に戻り、皆様と交流がもてるようになった際には、改めてお祝いが出来ればと思っています。
コロナウイルス感染拡大は、社会において大きな災害でもあります。その中で私たちが安心して働けるのも感染対策がしっかりされているからではないでしょうか。そこには、対策チームを中心に当院の感染対策におきましてご尽力された方々のおかげです。心より感謝申し上げます。
最後になりますが、20年ということで、ようやく成人式を迎え、折り返し地点に立つことができました。これもひとえに理事長先生、事務局長さんをはじめ、先輩方、皆様方のご指導とご協力があったおかげでございます。また、当院の皆様の人柄の良さであったり、職場の雰囲気の良さがあったからこそ、今まで続けてこれたと思っています。辛いことも多いとは思いますが、続けてやっていくことで成長していくこともあると思います。今後も職場に誇りをもって努力を続けて参りたいと思いますので、宜しくお願い致します。
当院のますますの発展を祈りまして、お礼の言葉にかえさえていただきます。