近年、高齢運転者数が増加しており、認知症の症状を有すると思われる運転者による高速道路逆走などのニュースを度々耳にします。そこで今回は、認知症患者さんの運転実態や運転中止に関する課題などについてテーマにしました。
☆認知症患者さんの運転行動の特徴
認知症の原因により症状や運転行動の特徴に違いはありますが、主な特徴として①運転中に行先を忘れる②交通ルールの無視③運転中のわき見④注意散漫になる⑤運転操作が遅くなる⑥運転技術にむらがある 等
☆運転中止に関する課題
運転を中止することでご本人やご家族の日常生活に何らかの影響が及ばされると考えられますが、運転を中止することで交通事故を起こすような危険性はなくなり、ご本人とそのご家族や周囲の人々の安全を守ることに確実につながります。ご本人が運転中止を拒む場合、その理由は何かを考え、運転を中止した後にどのような支援が必要となるか見極めることが必要です(自動車が移動手段として必要な場合代わりの手段を見付ける、運転が楽しみである場合は他の楽しみを見付ける 等)
家族の話し合いでは解決できない時、どうしても本人が運転中止を拒否しうまくいかない場合には専門の機関(警察署や免許センター、病院、市町村の窓口、地域包括支援センター)に相談する方法が良いと思われます。
作業療法士 土屋和嘉子
参考:「認知症高齢者の自動車運転を考える家族介護者のための支援マニュアル©」
国立長寿医療研究センター 長寿政策科学研究部
http://www.ncgg.go.jp/department/dgp/index-dgp-j.htm