本日入職されました専攻医を始めとする10名の方、また晴れて看護師、准看護師、管理栄養士、精神保健福祉士の資格と取られた9名の方、本当におめでとうございます。今日は春爛漫といった天気で、当院の桜も満開で私たち職員とともに、みなさんの門出を祝福しているようです。
さて新人のみなさんは精神科病院に対してどんなイメージをもっているでしょうか?当院に実習などで訪れる中学生、高校生は、ほとんど異口同音に「怖い」「暗い」というイメージをもっていたといいます。ただ実習をしたら、自分が偏見を持っていたことに気づいた、180度見方が変わったという感想文を提出してくれます。この事例を通して、偏見を減らす方法は実際に体験して、自分の目で見て感じてもらうことだと思うようになりました。精神疾患が5疾病の一つとして国が位置づけをし、昨年からは高校生の保健体育の授業が始まりました。できたら、精神医療を教える学校の先生にも当院の一日実習に参加してもらえたらという希望を持っております。
当院は今年で65周年を迎え、私は理事長としては2代目になります。創業者の遠藤利治は精神医学研究の道に進み、S33年に故郷である上田の地で精神障害の人の回復、幸せを願って病院を創立しました。その時から今日まで創立の精神を私たちは受け継いで来ました。当院の基本理念は「愛、信頼、奉仕、希望」であります。これから研修等で講義を受けると思うので、しっかり理解し、仕事を通じて更にこの理念を深めて頂ければと願っております。
次に当院の基本方針、伝統から3つをお話します。第一に明るい挨拶と笑顔です。人間関係の基本中の基本ですね。第二に時間を厳守すること、当院で重視されるチーム医療を実践する上で、時間の有効活用が大事です。第三に、人間、人生について幅広く学び続ける「学習する集団」であることです。仕事を通じ、私生活を通じ、書籍、研修等あらゆるものを通じて学び続け、成長し続けましょう。その他、大切にしているものとして、就労支援活動、ソーシャルファーム構想、精神科、精神疾患に対する偏見を減らす活動などがあります。もう一つは、精神科病院としては異色ですが、エンドオブライフケアと言われる人生最終章のケアです。当院では患者さん、ご家族、そして私たち医療関係者の満足「3者満足死」を掲げてその質の向上に努めています。
そして数年前から患者さん、ご家族の満足度を指標した日本一の精神科病院を目標としています。また、上田小県地域の関連する機関との連携を密にして精神障害になっても安心して幸せに人生を送れる地域創り(国の言葉では「精神障碍者にも対応した地域包括ケアシステム創り」を始めています。
最後になりますが、皆さんは今日から、日本一の精神科医療サービスを提供しようとする病院の一員となります。自分の持ち味を生かしつつ、それぞれの専門分野の勉強に励み、ここにいる先輩方と一緒に切磋琢磨してワンチームで頑張りましょう。