明けましておめでとうございます。昨年は大きな事故もなく、組織の力も向上し良い年でした。私が一時講演を検討したノートルダム清心学園理事長の渡辺和子さん(置かれた場所で咲きなさい)が昨年末に旅だったのは、悲しい出来事でした。さて元旦の新聞を見ますと、今年のキーワードは、断絶(破壊)、混迷、変化などのようです。病院を取り巻く外部環境もこれらの言葉があてはまりそうです。長期入院者の地域移行が進む中で毎年病床利用率が低下し、病院の構造改革が喫緊の課題ですし、今年は当院60周年、日本精神科医学会担当、そして診療報酬等のトルプル改定の前年、準備の年となります。つい最近読んだ本で「グリット、やり抜く力」と言う本があります。著者の女性の心理学者は「人は失敗して落ち込むことはあるが、必ず解決策があると信じて希望をもって努力を続ければ結果は出るし、やり遂げる自信、力が伸びる」と各種の研究の結果から述べています。日本のことわざ「七転び八置き」を信条にしていきたいとも言っています。
さて、当院は只今工事中ですが旧1病棟が解体され、不足していた駐車場の補充をしていきます。同時に東棟からアルテミスに続く庭園作りも5月以降には完成するので、入院患者さんの憩いの場になると思います。昨年からは診療サービスのソフトの面の質、クオリティーの向上を目標の全面に打ち出しています。今年もクオリティーの向上をめざすことを大きな目標とします。それにはまず、第一に病院組織の再点検と再構築です。昨年から立ち上がった病院機能評価機構をツールとして組織の更なる強化を図ります。もちろん、組織力は一人一人の力の向上に連動していきます。学習する集団を基礎にして、個々の力が相乗効果をもたらすシナジーを起こす組織を全員参加で創造していきましょう。第二に外来、訪問系診療サービスの更なる充実です。今年は、認知症の専門医も赴任予定で、懸案のものわすれ外来もスタートして、上田市の初期支援チームに参画し、認知症カフェの検討も含めてより認知症の専門性も地域にアピールしていきたいと思います。1昨年スタートしたポプラは地域医療に大いに力を発揮し、認知症高齢者の増加も含めてニーズが更に高まるでしょう。第三に今後、未来に必要とされる機能の研究です。高齢者の時代に即した事業、病床削減に伴う地域での受け入れ態勢の整備等がまず検討する必要があるでしょう。当院はまもなく300人規模の法人組織となります。一方で人手不足の時代に入り、対外的にもアピールが必要となってきました。今後10年―20年の激動期を乗り切るために更なる有用な人材の確保が大切と考えています。
また引き続き、教育、研修の充実、高齢者医療の進化、ソーシャルファーム構想、高齢者居住施設の研究などは継続重要事項としたいと思います。また精神医療に関する偏見との戦い、アンチスティグマ運動は、上小精神保健福祉連絡会、病院祭、各種講演会、学会等で更に成果を上げていきたいと思います。
最後になりますが、この激動の年を、当院の基本理念、基本方針をしっかり胸に刻み、職員一同力を合わせ、今年の目標を達成するべく努力して頑張って頂けることを祈念して私からの年頭の御挨拶といたします。