東田さんは重度の自閉症者でありながら文字盤を指しながら言葉を発していく【文字盤ポインティング】やPCを利用して、13歳の時に【自閉症の僕が跳びはねる理由】を執筆しました。20か国以上で翻訳されて注目されています。彼の、外から見えない心の内的宇宙の大きさに驚き、繊細で感受性の高い文章に、感動しました。どの文章も心に沁みる内容でした。目に見えない心の動きを観察することの大切さを知る精神科に従事する人間として、参考になる本でした。紹介しますので、興味のある方は本屋さんで購入してください。
「障害があるから不幸ではないのです。けれども、自閉症だから、普通の人にはない感性が僕に備わっているのは事実でしょう」「人は本来、動いていたい動物ではないかと考えています。いろいろなものを見て聞いて思考し、進化しようとするのです」「もし僕が死んで魂だけが残るとしたら、風のように世界中を、移動するでしょう。人であることから解き放たれた瞬間、進化を超えて、本当の自由を手に入れるのだと思います」「自分がどう見られているか気になった瞬間から、そっと、相手を観察しています」『僕にとっての現実世界は、ふわふわした雲の上から、人間界をみているような感覚です。怒ったり泣いたりしている人たちを、別世界の出来事のようにのぞいています。一人では寂しいくせに、地上に降りていく勇気がありません。どんなところにも行けるのに、どこへ行けばいいのかわからない感じです」『善い人間に近づくために、僕は今日を積み重ねていくつもりです』「幸せな大人になれたのは、家族のおかげです。僕が流した涙と同じくらい、家族も泣いてくれたことを僕は忘れません」『僕のことを、誰かが待っていてくれると思うだけで幸せな気分に浸れるのが不思議です。みんな絆で結ばれています。人は、一人では生きられないということを、生まれながらに知っているのではないでしょうか」…まだまだ続きます・・・