エンゼルケア
看取りの看護の中に“エンゼルケア”と言う言葉があります。
エンゼルケアとは「生から死への移行に立ち会う専門職という立場で、患者さんの死の前後から患者さんやご家族に対して出来うる限りの援助の在り方。そして、そのかかわりによって、そこに立ち会う患者さん、ご家族はもちろんのこと、ケアに携わる看護師自身にとっても意味をもたらす行為」
簡単に言えば、身支度を含めて、亡くなられた患者さんを「○○さん」その人らしく整えてお帰り頂くための支援です。亡くなられる前より「○○さん」のための援助を始めます。身支度は、普段通りを基本とし、一方的に進めないで御家族の希望を伺いながら準備して行います。身体ケアに大切な事は乾燥を防ぐことで、全身の保湿を気に掛ける対応をします。お帰りの着衣は気に入られていた洋服やご家族が希望されるものを用意いただきます。特になければ従来通りの浴衣を用意させてもらいます。
お顏のスキンケアやメイクの大きな目的の一つが乾燥防止となります。男性では髭剃りで皮膚を傷付けることが無いように、電気シェーバーでなく丁字カミソリが理想です。
全身は清拭やシャワー浴をしたあと、保湿クリームなどでマッサージを行ない、清潔と保湿を補います。亡くなられた後の身体変化の特徴についてもご家族に説明させて頂き、不安感を持たれない工夫をします。
こうして自分自身でセルフケアの出来なくなった「○○さん」の代わりに、私たちスタッフが「○○さん」のセルフケアを行い、お見送りさせて頂きます。
自分が亡くなるときには、自宅で家族に見守られて亡くなりたいと思われる方が多い様ですが、少子化超高齢多死社会の現代では、病院での看取りが多くなってきています。少しでもその人らしさを大切にした看取りができる様、今後も研鑽を積んで日々努力したいと思います。 師長:堀内幸子
✿看取りの看護とは
手をあててよく見る。手に入れる
手を使って思いを受け取る。本質に触れる
「ふれあう」ことで、逝く人の思いを受け取り、絆(連帯・関係性)を深めていく
死に至っても、大切な人の存在を確かに感じながら「ありがとう」「おつかれさま」「よくがんばったね」と、語りかける。心に思う、悲しみを表出する・・・それらを通して、そこに立ち会う人々が想いを共有する。(エンゼルメイク・アカデミア 2017)