認知症の高齢者の場合、認知症の症状にあわせてさまざまな障害が現れてきます。
そこで特徴的な障害についてのコミュニケーション技法を紹介します。
―― 半側空間無視 ――
半側空間無視とは、自分の正面を境界にして、右側あるいは左側にある物や人物を無視する状態です。
脳のある部分が損傷すると、どちらか一方の方向に注意が向かなくなってしまいます。(大好きな人がいるのに注意を向けない、その存在を無視するってことでしょうか?)
左側を無視する人が多く、発症してから間もなく治ることも多いのですが、治らない場合は長期にわたって症状が続きます。脳卒中や頭部外傷などで発症する高次脳機能障害の1つです。
特徴
① 自分の左側の人に気が付かない
② 自分の前におかれた文章の左側を読み落とすため意味が分からなくなる
③ 自分の目の前の絵をマネして書いてもらうと、右側だけしか描けない
④ 食事の時に左にある物を食べ残してしまう。
⑤ 自分の症状が自覚できない
対策
① 環境整備・・・安全な空間を作る。左側の障害物は取り除く。大事なものは右側に置く
② 重度の場合は左側を完全無視するため右側からの対応が必要
③ 軽傷の場合はあえて左側からの働き掛けも有効となる場合がある
(参考文献:基礎から学ぶ介護シリーズ 中央法規出版)
こちらが気づかない場合もありますので、普段から良く観察し、「おかしいな?どっちか見えていないのかな?いつも同じ側の食事が残っている?左に物があったらぶつかっている?」など、『何か変!!』と、感じる感性が患者さんへのリスクの軽減につながります。
師長:堀内幸子