【あなたの尊敬する人、理想とする人は誰ですか?】と聞くと【一番尊敬(理想)とする人は、父（母）です】とはっきりと明言される方々に出会います。それだけ家族の絆が強く、両親の愛に包まれて育てられたのでしょう。ほほえましく感じます。様々な理由があって、自分の両親を敬うことができない人もいると思います。つい最近【告白】という映画を見ました。ストーリーは『我が子を校内で亡くした女性教師が、終業式のHRで犯人である少年を指し示す。ひとつの事件をモノローグ形式で「級友」「犯人」「犯人の家族」から、それぞれ語らせ真相に迫る』というものでしたが、答えが見えない、光が見えない重苦しさだけが残る、後味の悪い映画でした。映画を見終わった後に普通は感想を伝えたくなるのですが、衝撃的な結末に、何も話をしたくない状態になりました。第29回小説推理新人賞受賞、「本屋大賞2009」受賞作品を映画化したのだそうです。松たか子の熱演には驚きましたが、それにしてもこんなに暗い映画を若いカップルがたくさん見ていることに驚きました。映画を見る前はポップコーンと飲み物をもって笑顔で入り口から入っていったのですが、映画館を出る時は、私のフィルターがかかっているせいか、元気がなくなっているような感じにも思えました。家族関係を見直す時期が来ているということでしょうか。親に愛されることを求める心、それを求めているのに満たされない心、満たされない心を満たすための方法論が分からずに、自己破壊的な方向に向かっている姿、愛するものを失った苦しみ悲しみを、苦しみで消そうとする復讐劇・・・、心の闇の描写は、フィクションの世界だけでなく、現実のいじめの世界に通じるものがあるかもしれません。小学校、中学校、高校と人生の基礎を創る大切な時期を、未来への希望に満ちて過ごせる若者が増えることを、願って止みません。
