実りの秋

実りの秋スーパーに行くと、大きく、赤い信州リンゴが箱で並び、秋到来という感覚になります。信州リンゴは、水々しくて蜜が多く、シャキッとしていて美味しく感じるのは、信州人だからかもしれません。春は白い花が雪が積もったように咲き乱れていたのに、ひと夏が終わり秋の気配を感じる頃には、赤い実が重たそうに、ぶら下がっています。特に秋は、自然の恵みを感じます。栽培の中で一番難しい果物がリンゴで、農薬と肥料で大事に守られて育てられるのだそうです。虫がつかないように、傷つかないように、大切に手入れをされて、育てられるリンゴは、箱入り娘のように思えなくもありません。そう思って、食べていると農家の方々の努力や愛情が伝わってきて、デザートとしてのリンゴがいっそう美味しく感じられるのではないでしょうか。ところが、プロジェクトXにも出たことのある木村秋則さんは、無農薬で奇跡のリンゴ(腐らないで、枯れていく)を作りました。本を買って読みましたが、壮絶な努力と信念を感じて、生きていることの喜びが顔面の写真から伝わってくるようでした。木村さんのような人に愛情を注がれて、リンゴが本来もっている生命力を引き出され、育ちやすい環境の中で、リンゴ自身がリンゴ本来の姿となったという一切れを食べてみたいものだと思っています。木村さんは果物つくりを通して、【作物は作物自身が自分で作る】と言い、人間は米粒一つ作ることはできないのだから、あたかも自分が作っているという思い込みや、感覚を捨てたらどうかと問いかけてきます。本当にそのとおりだと思いました。「皆さんが私の話を聞いて感動しても皆さん自身に実りをもたらすのはやはり皆さん自身なのです」と、信念を貫いて成功をつかんだ人特有の確信ある言葉は深いものがあります。人間は自らの意志の力で自分自身を変えていくことができるのですから、幸せなことだと思います。

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