本日は、華々しく迎えていただき、ありがとうございます。
本日は56回目の医療法人友愛会が開設した記念すべき日です。昭和33年遠藤利治の志の下、上田の地で医療法人友愛会は始まりました。最初は5人でスタートしたようです。開院の前日から、患者さんは本当に来てくれるのかな、と不安だったそうです。お金もなく、借金をしてのスタートだったので、切迫した状態だったと聞いています。実際に患者さんが来てくれない状態がしばらく続いたそうです。
しかし、翌年には入院患者さんに廊下で寝泊まりしていただかなければならないくらいになったようです。昭和33年は私もまだ3歳くらいの頃ですが、日本が少しずつ豊かになっていく時代でした。そして人と人との繋がりは、今よりも密だったのではないかと思います。つい最近70代位の患者さんが診察に訪れた時、『当時は鶏も飼っていて、家庭的でしたね。皆私たちのことを大事にしてくれました。』とおっしゃっていました。
私が赴任したのは平成3年ですが、スタッフの人数は60~70名だったと思います。家庭的な雰囲気は残っていて、医者は私を含めて3人程だったので、医者の希少価値が高い時期だったと思います。私が来て、鴇田先生が来て、医者がどんどん増えて一時期は8人か9人程になり、あっという間に充実していきました。職員も100人を経て、今は260人を超えています。23年前の平成3年は250床で外来患者さんも普通に診ていましたので、今は当時に比して診療サービスの面だけを見ても、マンパワーとして4倍以上の濃さになるかと思います。5年毎の記念写真を見ていただくと、徐々に人が増えていく姿がわかり驚くかと思います。
毎年、8月1日は暑い日が多いのですが、今年も暑かったものの珍しく夕方に雨が降りました。色々な年があって、色々な時期をこの法人も過ごしていくのでしょう。最近を振り返ってみますと、一年半前から南棟を着工し、5月に新しい外来棟としてスタートすることができました。様々な部署の担当者に意見を出してもらい、本当に良い建物ができました。研修医のレポートによると、「過去に行ったことのある精神科病院と全く違うので、イメージが変わった」と書かれていました。大きな変化だと思います。「光があふれて明るい」とも言っていましたが、精神科医療も変わってきているということが、病院に来てもらえれば伝わる、とてもありがたいことだと感じています。
電子カルテもほぼ一緒に立ち上がりました。委員の方、本当にありがとうございました。大きな問題もなく、稼働を迎えました。皆で私たちの大事な診療サービスを上げる為のツールとして、活かしていきたいと思います。4月の内覧会には500名ほどの方が来られました。6月には記念式典を行い、おもてなしの心でお迎えでき、お越し下さった方々にはとても喜んでいただきました。
今日、こんなにもうれしい気持ちでこの場所に立っていられるのは、運に恵まれ、4月に3名の常勤の医師が赴任して下さったからです。先生方に赴任して頂いたおかげと、多くの方の尽力を経て、私が考えていた一番早い時期の6月から救急病棟をスタートすることが出来ました。
満足度調査というのをやっています。私も必ず目を通していますが、これを見ると患者さんが良かったというのが直に感じられます。スタッフの方が優しく丁寧に接してくれたというコメントがとても多いです。もちろん、建物が明るく清潔で気持ちよく過ごせたという意見もあります。皆さんの診療サービスが少しずつ上がってきているのを感じます。10月には日精協の通信教育の実習病院として、来年の秋には日精協のPSWの研修会があります。私たちがやっていることを様々な方に見ていただき、意見を聞かしていただいて、またより良くなる機会になると期待しています。近々、佐久大学の高看の学生が当院で実習を行います。来年からは上田の高看の学生の実習も始まる予定です。建物の効果もあり、何人かの方に働きたいと思ってもらえればと期待しています。
少し長くなってしまいました。また、創業者に「話が長いぞ。」と、言われてしまいそうです。今日の日は、創立の原点です。「精神疾患になっても、ちゃんと治療して、良くなって、社会の中でもう一度その人らしい人生を生きてほしい。」と、遠藤利治があの時代に思っていたことは確かです。様々な変化はありますが、その思いを私たちは受け継いで、この地で診療を続けていきたいと思います。8月1日の創立者の思いを、皆さんと共有し、より良い病院になることを願って、挨拶とさせていただきます。