院長挨拶
本日の入職は常勤者6名です。専攻医2名、作業療法士3名。管理栄養士1名となります。非常勤では支援センター配属の指導員として2名が入ります。昨今の特徴かもしれませんが、新卒は3名、残りの5名は前職ありの方です。当院では先輩に当たる方と適切にコミュニケーションを取りながら、千曲荘病院ケアチームの一員として力を発揮して頂けることを切に願っています。
当院の特徴を私なりにお話ししたいと思います。創立から今年67周年を迎える伝統ある精神科病院です。それぞれの専門別の治療、ケア等の方針については個別に教育がされると思いますので、大枠、私の目からみた重要なポイントをお話し致します。
当院の基本理念は愛・信頼・奉仕・希望です。特に第一の愛、慈愛、コンパッションといった概念を日頃のケアの実践を通じて深めて頂ければと思います。また常に人間に関する学習を継続し、成長する集団を目指しています。日頃の対応での基本は「明るい挨拶と笑顔」です。これが出来ると千曲荘ケアチームの入り口は通過した事になります。時間を守ること、無駄を廃する事、創意工夫なども伝統の目玉です。また障害者の方の就労援助に力を入れています。当院デイケアでのハローワークとの連携したジョブコースは全国的にも有名になりました。就労の定着率、継続率も高く、つい先日も6年間仕事を継続している方から感謝の手紙を頂きました。
また当院が継続して大切にしていることは、精神疾患、精神障害、精神障害者、精神科病院等に関する偏見を減らすための活動です。創立者の遠藤利治先生の語ったエピソードを1つ話します。昭和30年代の話だと思いますが、ある新患の方が、「毎日毎日当院で相談しようと門の前まで来ていたが、どうしても怖くて足を踏み入れない、今日は死ぬ覚悟でやっと門を超えて来ました」、と。当院は病院祭、精神保健セミナー等で啓発活動をずっと継続してきた成果もあり、偏見はずっと減ってきましたが、まだまだ安心して精神障害のことを語れる状況ではありません。ここ数年は「にも包括」(精神障害にも対応した地域包括ケアシステム)構築を旗標に更に努力を続けています。また、当院は私の個人的体験(母が67歳で、専門の緩和ケア病棟を有する病院で死亡)もあり、エンドオブライフケアを大切にし、患者さん、ご家族、医療関係者3者の満足する死を目指す3者満足死を掲げています。そんなこともあって、パブリックヘルス、健康都市(因みに上田市も健幸都市宣言をしています)を超えてエンドオブライフケアにも取り組んでいく社会 コンパッションシティを長期目標にしています。
病院を代表して、当院の中心概念をお話ししました。みんなで4つの基本理念を胸に新人職員を含めた千曲荘病院ワンチームを再結成して日本一の精神科病院のためにみんなで頑張りましょう。