旧一病棟が跡形もなく消えて更地となり、そこで入院されていた患者さんや活躍された職員の皆様の時間が思い出として残りました。時代が変わるというのは、変化を伴う諸行無常であることを改めて感じます。その変化がよき方向へと変わり続けることが願いですが、有り難いことにそうなりつつあります。職員用駐車場と中庭となり、再び、運動場が使えるようになります。中庭は四季折々の美しい花や木々に囲まれて憩いのスペースとなることでしょう。療養生活を豊かにし、千曲荘病院を通り抜けて行った方々の心の思い出になることを祈念しております。療養環境は、美を保とうとする「持続する思い」とそれに伴う「実践」がないと実現しません。緑化委員を立ち上げて下さった方々の熱い思いを引き継いでいける私達でありたいですし、患者さんと一緒に中庭の美しさを作り上げてゆけたらと考えます。土曜の朝のニュースで統合失調症の方が都会のオフィスビルで花屋で働いている姿が映りました。美しいフラワーアレンジメントを完成させる過程で「自分なんかと思っていたけれど、自分に自信が生まれた」と語られていました。経営者は精神障害者を今の倍の20人採用して活躍の場を広げたいと夢を語っておりました。障害があってもなくても主体的に加わることで、自信につながり、生きる喜びにつながっていくのだと思います。そんなことを考えていると、段々完成されてゆく中庭の美しさが目に浮かび、その姿を楽しむ皆様の笑顔が想像できて、嬉しくなってきました。…今年の病院祭には、秋の彩で華やかになった庭を見ることができると思います。来場された、地域の皆様にも楽しんでいただたら、幸いです。