医者が末期がん患者になってわかったこと:岩田隆信著

わが国屈指の脳外科分野の名医と評された元昭和大学医学部助教授岩田さんが、1997,1月に悪性脳腫瘍と分かってから1998,12月に亡くなられるまで、3回の手術に耐えて闘った記録です。医師の立場から180度変わり、患者の立場になって分かったことが、切々と述べられています。『患者の痛みを知識としては理解できているつもりでしたが、実はほとんど分かっていなかったこと。医者の何気ない一言やしぐさで、どれほど患者さんの心が揺らぐものなのかということ、病院の医療がいかに医療サイドの都合で決められているかということ』が書かれていました。脳の手術の場合、視覚障害以上に味覚嗅覚障害に苦しんだことは、専門書に全く触れられてもいなかったことも述べられていました。自分の専門分野なので、現代進行形で自分の状態がわかるということは、何も知らず医師に全托している患者よりシビアなものがあるとリアルに分かりました。中でも『どんな状況が悪くなっても、嘘でもいいから「大丈夫だよ」という言葉を聞きたいものなのです。そして、自分が患者の立場に立ってしまった私の場合も同様でした』という言葉はハッとするものがありました。希望を与え続けることの大切さと、希望という光を信じられるからこそ、目の前の困難を乗り越えようとする意志が生まれることも分かりました。自らの心に希望・使命という消えることのない光を常に掲げ、それに向かって生きたいと願うと共に、希望を与えられる医療者であり続けたいと思いました。

また第八章に『悪平等の日本医療』という項目がありました。『日本人は水と空気と医療と安全はタダという考え方がありますが、その点が欧米諸国とは根本的に違っています』と相違点が紹介され日本の医療と比較され意見が述べられていました。最終章に載っている価値は大きく感じましたので、アドバイスとして受け止め紹介させていただきます。

 ほとんどの人が、とにかく病院に行けば、なんでも医療保険の中で済むと考えています。もちろん、平等に医療が受けられるということは非常にすばらしいことに違いありません。しかし、そのために不必要な医療が行われているという側面も見逃すことはできません。前述したがんの末期医療にしてもそうですが、もはやどうしようもない段階になってからも膨大な費用をかけて、延命治療が行われています。それは医療費を増大させるばかりか、患者本人の苦痛も増大させているのです。そのとき患者は、十分な説明も受けず、患者の家族もよく説明を聞こうともせず、とにかくできることは何でもやってくれた方がいいという傾向があります。結局医師と患者双方が一緒になって、無意味な治療に無駄な金をつぎ込むことになるのです。あたかも平等に見える日本の医療ですが、その一方で不平等が拡がりつつあるのです。つまり自由診療の部分ももっと増やすべきだと思うのです。自分に必要だと思ったら自費で高度医療を受けるようにすればいいのです。そうしないと平等に受けられるべき保険診療の部分も経済的に成り立たなくなってガタガタになってしまいます。現在、日本の医療費増大は大きな問題となっていますが、よりよい医療制度を確立するためには、もっとその辺りの整備をしていく必要があるでしょう。

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