バザーに出そうと思って、整理していた書籍の中に『輝け わが命の日々よ』がありました。
精神科医・西川喜作先生が、「亡くなられる前の3ヶ月間に何かに憑かれたかのように猛烈な勢いでペンを走らせ書いた遺稿であった」と柳田邦男先生の解説文を読み、縁の不思議さに驚きました。なぜなら、11月22日に柳田邦男先生を50周年記念講演会の講師としてお招きしているからです。埃を払って読み返してみると、『現代の医学において、生については産科学や乳児学があるのに、誰でもが直面しなければならない死に関する医学が、ほとんど顧慮されていないことに私は疑問を感じるのです』と書かれていました。精神科医としての仕事を続けながらも、自らの心の動きを赤裸々に語り、「死の医学」の分野を拓き、本として残して下さったおかげで、こうして恩恵を受けることができます。この本を20数年前に読んだときは感動して研修を国立千葉病院でと思ったこともありました。彼の精神を伝えることで、供養とし、医療に生かせる事を願いつつ、紹介いたします。
■『聴く心』とは医療者が持つべきもっとも基本的な心構えである。言葉をかえれば愛の心ともいえる。反面、医療者が患者の言うまま、欲するままに何でもその通りにしてやることが必ずしもよい看護とはいえない。
■医療の心は患者の要求のすべてを叶えることではない。病いはその人の人生の結果であり、病いそのものがすべて否定的存在悪ではない。むしろ病いを知り、病いから抜け出す。そして病いを友とする勇気と経験を持たなければならないのである。