理事長挨拶
創立50年の歩みを振り返り私の思いをお話します。今日に至るまで、精神科医療一筋で生きてきましたが、心がけてきたことは、『人間愛』と『愛情の大切さ』です。私は昭和33年の8月1日に上田市の花園に30床で開院し3年間は本当に苦しく、眠れない時代でした。当時の精神医療は遅れていて、現代のように、人権が重じられることもなく、向精神薬数少なく、治療法も限られたものでした。精神科病院も今ほどなかったので、遠くは野辺山まで往診に行きました。毎晩夜中の12時に電話をかけてくる患者さんがいたり、毎晩10時と夜中の2時の往診を1ヶ月間続けた患者さんもいました。困っている患者さんやそのご家族がいれば、昼夜を問わず支えてきました。一番大変な時代でしたが、家庭的な中で、入院患者さんと一緒に食事や入浴をしていたので、患者さんのことや家族のことが、非常によく分かりました。漫然と患者さんを診るのではなく、愛情を持って診るようにしていました。精神医学は非常に難しい学問ではありますが、このような生活を通して気づいたのは、やはり原点は、患者さんに愛情を持って接していくことがすべてだと思います。
当法人名は「友愛会」と申します。「人間を大切にしなければならない。友を大事にしなければならないという思いからです。千曲荘病院の名前の由来は、「千曲川」の「千曲」と「荘」を合わせて「千曲荘」と命名し、名称を医療法人友愛会 千曲荘病院と致しました。振り返ってみると、今は精神科医療が向上し、職員にも恵まれ本当に感謝しております。しかし、少しでも医療者として慢心することなく、「愛情」を持った治療、看護、ケアが私たちの原点であることに変わりありません。