【希望の作り方】弦田有史著の中に子供がずっと引きこもり状態にあるお母さんのお話が紹介されていました。ずっと不安が続き、自分が死んだ後子供はどうなるのか心配で涙が止まらなくなる夜もあると・・お母さんの言葉を引用します。『ただ、あるときから私は考え方を変えたんです。最初は子供が引きこもりになって、なんて自分は不幸なんだろうと思っていました。でも、よく考えてみると、そうではないんじゃないか。子供がひきこもりになってから、お父さんもはじめて本気で家族に向かおうとしてくれるようになったと思う。それにひきこもりの親の会に入ってからは、辛さを共有してくれる、同じような立場の人たちとたくさん知り合いになった。人生で一番大事な友達もできた。そうだ、自分は決して不幸ではないんだ。この先、子どもにどんなことがあっても、自分は幸せになるんだ、なれるんだ。そして人生悪くなかったと思って死んでいきたい』現実の状況は変っていないのに、自分の苦しさだけにとらわれることを止めて、この苦しさの中で気づいた幸せに目を向けたことで、全く違った道を歩みだそうとされています。応援したくなりました。
もう一本紹介したいのは、2011のジャミックジャーナル2月号の記事で、年収が10分の1になって米国の大学病院から日本の大学に戻られた大木隆生氏のコメントです。『お金は衣食住のために必要ですが、それ以上は高い車や服、豪邸などのトキメキを買うツールでしかありません。そのトキメキの極みが、人に感謝されることです。ビルゲイツをはじめ、富豪と呼ばれる人は物で得られるトキメキに飽きて必ず慈善事業に行き着く。外科医であれば、患者、特に母国の患者に喜ばれることが何よりも人生を豊かにします。略 外科学講座も求心力を失い退局者が続出していましたので、迷わず人肌脱ぎたいと思いました。仲間のいる医局を再生し、母校の発展に貢献できることは、お金で変えないトキメキだからです』とあり、さらに「・・もし、現状に不満を感じる医師がいるとしたら、その不満をもう一度見つめなおしてください。本当に求めているものは、お金ではなくて、トキメキかもしれません」と締めくくられていました。お二人共に立派です。共通しているのは、自分の内に目を向け『こころ』の存在を感じ取っておられることだと思います。私もこのお二人のように、成熟した心を育てていきたいと思っています。
今年は特に寒さが厳しく感じましたが、明日からは二月になります。少しずつ、春が近づいていることをトキメキながら、生命の不思議を感じています。