84歳現役医師として

昭和33年8月1日に病院を開院してより、ほぼ50年間にわたって、時代の変化を見続けてきた私にとって、医師としてまだ現役で働けることは、有難いことだと思っています。私と同じ年の日本人のほとんどは、多分、介護保険のお世話になっているか、退職されて悠々自適の生活をされているかどちらかでしょう。時折、毎日こうして病院に来るよりは、退職して趣味の生活に入りたいと思うこともあります。しかし、医師不足で、現在のように医師の定数を満たさないと病院経営が難しい時代においては、私のように最後の最後まで現場で働かざるを得ない医師もいるのではないかと思います。これも、逆方向から考えてみれば、最後まで働く場があるということは有難いことであり、それも税金使う側ではなく、納められる側に現在も立っていられることが、小さな誇りにもなっています。足が弱まり、浮腫のある足を引きずって歩くのは、辛いことではありますが、病院で寝ている患者さんのためにも、せめて私がこの年で頑張って歩いている姿を見てもらうことで、使える機能を保持しようと思ってもらえたらという気持ちです。生・老・病・死の四苦の苦しみを釈迦は説いておられましたが、老・病の寂しさを肌で感じている私に「和顔愛語で有終の美を飾って欲しい」という娘の言葉は厳しくもあり、この年になってみないと私の気持ちは分からないだろうと思うのですが、「老いては子に従え」と思い、生きてゆきたいとおもっています。 皆さんも、長生きして、日本の国がこれからどのように変化し善くなっていくのかを見守って下さい。(医療タイムズの今年の新年号に載りました)

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