人生の最期の場所について思う事

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師長:堀内幸子

超高齢少子化多死社会の現代では自分の死に方、死に場所を自分の思う通りに選ぶことはなかなか難しいのが現状です。私自身は、自分を大事に思ってくれる人に囲まれ穏やかに最期を迎えたいと思っています。場所はできれば東2階病棟のように、丁寧な看取りをしてくれるところが良い。

 

東2階病棟は、高齢の認知症患者さんと精神疾患をもって長く入院し認知機能の落ちているお年寄りが入院しています。そのため、看取りとなるケースも多くなっています。

そういう人の中には、食事や点滴を自分の意思で拒否する方、何かわからずただ嫌!という方もいます。

家族の中には「最期まで出来ることをしてほしい。出来るならほかの病院での治療を希望したい」と、申し出る場合があります。本人の意思は確認できませんが家族の希望により、相手方の病院へ紹介をし、了解を得れば一般科病院へ転院されることになります。しかし、本人が意思をもってそれ以上の治療を望まず、拒否をされれば治療はできません。そうなると、治療をする場所である一般医療機関からは、退院を勧められ東2階病棟へ戻ってくることがあります。

 

人間を含め動植物は、水分が取れなくなったら枯れてきます。即ち早晩死に至る。だからと言って、強く拒否をしている患者さんに無理やり治療することもできず、そこで、本人の想いと家族の想いに齟齬が出てくることがあります。

東2階病棟では、これ以上の治療は望めなく、生きる時間の限りがあるだろうと予想ができる患者さんは、本人の想いと家族の想いを聞き取りすり合わせ、今一番その人にとって良いケアは何かと相談しながら看取りケアを開始します。

穏やかで安心してもらえる環境を皆で作り出し、患者さん、ご家族、主治医、病棟医、看護スタッフ全員で考え、その時その時に良いケアを提供します。

ケアの最期には、希望されるご家族と一緒にエンゼルケア(お見送りの支度を整えるケア)を行い、体をきれいに清拭し衣装を整えお化粧をします。ご家族も一緒に化粧をされる場合が多くなっています。一緒にファンデーションを塗り、口紅を塗りながら、病棟での出来事や、本人の若かったころの話などを聞きます。涙は消え笑顔を見せながら「良いお義母さんでしたよ。」や、「厳しくてね」「頑固なオヤジでしたよ」などの声が聞かれ、やさしくていい時間が流れます。

こんな風に、見送る人、見送られる人が安心できてやさしくなれる時間に、自分は人生の最期の身を置きたいと思うのです。

8年間、師長として東2階病棟を支え、育て、そうして自分が育てられ成長できたことに心から感謝しています。私を支えてくださった たくさんのみなさん、ありがとうございました。

御家族の皆様、ご協力ありがとうございました。

 

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