ビッグツリー(佐々木常夫著WAVE出版)

著者は、自閉症の長男を持ち、肝臓病で入退院を繰り替えし、うつ病になり何度か自殺未遂をし、入院を43回した妻を支え、一番の理解者であった長女が自殺未遂をしたどん底にあっても、すべての育児、家事、看病をこなしつつ、仕事を手抜きすることなく、最後は東レ経営研究所社長になられた逆境からの脱出に見事成功された方です。その強靭な精神力はどこからくるのでしょうか?決して諦めない、どんな環境におかれても、前向きに捉え、一途なまでに全力で生き抜くという著者の生き方だと思いました。その諦めないで家族を支える力が養分となり、長い苦しみの年月をかけて、再び家族を蘇らせました。蘇った家族は、以前より一回りも大きくなり、家族の絆は強くなり、まるで家族が大輪のひまわりの花のようにさえ思えました。お会いしたこともありませんが、文面を読み続けていると、著者の誠実な人柄、写真から伝わってくる慈眼の奥にある優しさが伝わってくるようでした。本書の中から、印象的な文面を紹介します。

母浩子の言葉から

逆説的になるかもしれませんが、私たちにとって人生最大のプレゼントは自閉症の俊介かもしれません。俊介の存在は、生きるとはどういうことなのか、私と家族に教えてくれました。当たり前であることの素晴らしさ、尊さ、人が生きるということは、人を愛することはどういうことなのかを教えてくれました。私はこうした様々な触れ合いがなかったならば、これほどまでに感謝気持ちを持つことはなかったのではないかと思います。

(本人の苦しみは、この入退院の回数を聞くだけでも必死だったと思いますし、不安と絶望の中からの脱出だったと思います。どんな状態になっても諦めることなく支え続けた家族の存在は、ご本人の誇りでもありましょう・・・)

著者から

私が家族で大変だった時に私を支えてくれたのは仕事だったのです。家族のことで苦労している時、むしろ仕事をすることによって、私は救われていたのかもしれません。この世の中の出来事は、人間の力を越えた別の力が働くことがありますし、不幸なことも続きません。現実の私の場合多くの苦労をしましたが、今そうしたものを越えて幸せをつかんでいるのは神様のおかげではないかと思います。人は、家族や仕事に対してみな責任を果たしたいと持っているし、懸命にその努力をしている。人は自分の境涯を嘆きながらも、強く生きたいと思っている。すべての人たちは、愛情を求め、愛情を与え、助け合おうとしている。しかし、そのような中で壁にぶつかりもがき、苦しみ、愛し、喜び悲しみ、疲れていく。私自身もそうであった。私は、自分自身以外の大きな力を感じている。

(強い意志の力、著者が言うところの人間の力を越えた別の力が働いたことだと思いますが、それにしても、人の何倍もの重荷に耐え、希望を失うことなく、未来の幸せな家族像を信じて、実践された信念の力に脱帽です・・・)。
他にも何冊か本を書いておられるようでしたので、読んでみたいと思いました。

 

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