本当の感謝とは何か

「涙の数だけ大きくなれる」

木下晴弘著をよんでいて、涙する場面が何回かありました。『本当の感謝とは何か』を実体験させたある会社の社長の話は、その通りだなと思えました。内容は【その会社の入社試験は『あなたは、お母さんの足を洗ってあげたことがありますか』という質問をして、ほとんどの学生は「ない」と答えるので、「それでは3日間与えるので、お母さんの足を洗って報告に来てください、それで入社試験は終わりです」だそうです。ある学生は、やっとのこと母親の足を洗ったとき、あまりにも荒れ放題で、ひび割れているのを手のひらで感じて絶句したそうです。心の中で『父が早く死んで、母は死にもの狂いで働き自分と兄貴を養ってくれた。この荒れた足は自分たちのために働き続けてくれた足だ』と悟り胸がいっぱいになり『お母さん、長生きしてくれよな』と言うのが精一杯だったと。しばらくして、息子の手に落ちてくるものがあり、それは母の涙だったこと。学生は母の顔を見上げることがでず『お母さん、ありがとう』とやっと言い、翌日、彼は会社に行き、こんな素晴らしい教育を受けたのは初めてです。ありがとうございました】こう書かれていました。それを読みながら、年老いた母の背中を流したことを思い出しました。小中高校の頃は、いつも元気で笑顔が絶えず、人一倍働き者で、勤勉の尊さを教えてくれた母。母の優しさに甘えて、どのくらい心配をかけて悩ませたことか、、、一つ一つの場面を思い出し、抱き上げることができるくらい小さくなったその背中を流しながら、小さい声で『お母さん、ありがとう。その皺は私が心配かけてできた皺だよね』と呟きながら、気づかれないようにシャワーで涙を消しました。母は「ありがとう。気持ちがよかった」と喜んでくれました。『ありがとう』と何回も何十回も、何百回もお礼を言って、恩返ししたいのは私なのに、苦労を重ね自愛に満ちた目で『ありがとう』と言われると、胸が詰まって言葉にならないのです。

先日NHKで篤姫が徳川家茂の病気のときに、『案ずるばかりで、何もしてやれない苦しみ』とぼそっと言った一言が、胸にずしんと響いてきました。この言葉の意味の深さが分かる年齢になったのは、私も年をとったからかもしれません。

本当の感謝とは何か

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